厚生労働省が20日まとめた2003年度の介護報酬の改定案は、施設介護の報酬を抑える一方で在宅介護の報酬は引き上げ、在宅サービスの拡充を促す。利用者にとって在宅サービスの選択肢が増える反面
、使い方によっては自己負担が増える。サービスの質に応じて報酬が増減する仕組みも取り入れており、介護ビジネスの拡充を狙う事業者間の競争も強まりそうだ。
●利用者、選択肢増す
「在宅は高く、施設は低く」−。今回の見直しは高齢者が自宅で暮らせるように、事業者が自宅をたずねてする介護サービスを優遇、ビジネスの拡大を促す狙いがある。ただ、かかった費用の一割は利用者の自己負担。事業者の評集単価が上がると、手厚い介護が受けられる半面、利用者は自己負担がかさむ。
見直しの柱の一つは在宅サービスのうち、介護支援専門員(ケアマネジャー)の“厚遇”。介護を進める上で、きめ細かな計画作りが欠かせないためだ。現在、報酬は利用者の介護の必要度ごとに異なるが、改定後は要介護度に関係なく月8500円。平均で約17%の引き上げだ。
●質を重視
ケアマネジャーの質に応じて、報酬を増額したり減額したりできる仕組みも導入。要介護度の高い人向けに4種類以上のサービス計画を作る場合は報酬を加算する。半面、利用者の自宅への月1回の訪問を怠る場合などは3割減額する。
この介護サービスの計画作りの報酬は全額介護保険で賄い、利用者の負担はゼロ。報酬改定でも利用者には響かない。
利用者の自己負担が重くなるのは、ホームヘルパーによる訪問介護。特に掃除など家事手伝い中心の生活援助型の単価は現在の家事援助と比べ約26%上がり、利用者負担も大幅に増える。おむつ交換など要介護度の高い人が利用する身体介護は小幅な引き上げに抑えるため、自己負担は現在とあまり変わらない。
一方、高齢者が日中に特養ホームなどに通う通所介護(デイサービス)など在宅介護の中でも施設を利用するサービスは値下げとなり、利用料も安くなる。特養ホームの経営が全般に黒字である点を重視、「重度の人向けのサービス」との性格を前面に出し、要介護度の低い人を中心に報酬を減額した。
●要介護度で差
施設入所者向けサービスの報酬は特養ホームと老人保健施設は約4%、長期療養型病院は約3%下がる。「要介護度の低い人向けほど単価が下がり、施設は要介護度の低い利用者の受け入れを避ける」と厚労省はみている。施設で暮らす高齢者の負担は月平均千〜2千円減る。
半面、新設する「個室型特養ホーム」の入居者は一割の自己負担のほかに、家賃・光熱費として月4万円−5万円(福祉年金受給者ら低所得者は3万円−4万円)の負担が必要になる。新型ホームは全国六十八箇所で整備中で、2004年度に本格的にサービスが始まる。
長期療養型病院でも、要介護度が高く、探求員などが常時必要な場合の報酬は上がる。利用者負担は重くなるが、重度の療養が必要な人向けサービスの拡充を促す。痴ほうの高齢者が集団で暮らすグループホームも夜間の介護体制が整っている場合は1日当たり710円上乗せする。(日本経済新聞2003.1.21)