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ケアワーカーセミナー8 感染症対策とその予防
ケアワーカーセミナー7 抑制のないケアをスタートにして 講演録 2
社会保障審議会介護給付費分科会 報告
Information
 ・介護保険料 合併自治体に複数設定
 ・療養病床の介護報酬 加算制度を導入へ
 昨年度の介護保険給付15%増

ケアワーカーセミナー8 感染症対策とその予防を開催しました

感染症の症状と対策を学びました
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 7月14日に大阪市中央区においてケアワーカーセミナー8「感染症対策とその予防」を開催しました。
 講師の小林和夫さん(大阪市立大学大学院教授 医学研究科感染防御学)からは、映像を使って各感染症の症状などについてわかりやすく説明をいただき、対処法などが語られました。約70人の参加者も熱心に聞き入り、講演後もデイサ−ビスや施設、在宅での感染防止について活発な質問が出されたり、意見交換が行われました。
 感染症による死亡は、現在のところ総死亡の1割前後ですが、今まで非感染性疾患とされてきた悪性新生物(胃癌、ヘリコバクタ−ピロリ菌、肝細胞癌、B及びC型肝炎ウイルス、子宮頚癌など)や多くの循環器疾患、動脈硬化などに、ウイルスによる感染が関わっていることが明らかとなってきています。
 感染症増加の要因として、都市化による過密(人と人の距離が短い)、交通機関の発達による高速移動、感染症対策の軽視、高齢者(抵抗力が弱い)の増大などが考えられます。
 これらのことから感染症は今後も増大することが予測され、21世紀の一番の標的は感染症になるといわれています。
 今後減少すると思われる感染症は、肺炎などの呼吸器系疾患やはしか、下痢性疾患で、増加が予測されるのは、結核(多くは高齢者)、マラリア(温暖化によりマラリア原虫の媒体蚊が日本に上陸している)、AIDSだといわれています。また、新しい感染症として、トリ型インフルエンザ、狂牛病、O-157などがあります。
 大阪の特徴として、結核患者が都道府県の中で全国一であり、中でも大阪市はトップであり、2週間以上続く咳の場合、まず第一に結核を疑い、医療機関への受診を勧めた方がいいと思われます。なお、ワクチン(BCG)は乳幼児には効くが成人には効果がないことが分かっています。
 また、毎年11月から4月にかけて猛威をふるうインフルエンザのワクチンは、7割から8割の予防効果があり、介護される人もする人も予防接種するのが望ましいとされています。
 感染症は、空気や飛沫、接触により感染しますが、日常的な予防としては、標準的予防策で8割が予防できます。つまり、使い捨ての手袋やガウン着用(できれば紙製の使い捨てで後ろ開きのもの)、手洗い(一つの処置ごとに必ず手洗いの実行)です。でも、現実にはこんなことは日々実行することが困難ですので、たとえば感染症で個室に隔離した場合は、部屋の外にガウンを掛けておいて、入る人は必ずそのガウンを着るとか、スプレ−式の消毒液を腰にぶらさげて一つの処置ごとにシュッシュッとかする方がいい、と話されました。

ケアワーカーセミナー7 抑制のないケアをスタートにして

講演録 2
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利用者主体のサービスを

介護保険というのは利用者主体のサービスと言われています。利用者主体というのは私たちが予測したり想像したり憶測したりするものではないですね。利用者自身が利用者の言葉で、これを求めているんですよと、サインであるとか言葉であるとかで訴えてもらうもの、そのための力は全部そがれていますね、入所者の方って。地域から、病院とか老健とか回って入所に至るまで、そういう自分たちの権利であるとか思いを人に伝えるという力をすごくそがれて入所に至っておられます。その力を高めて貰おうではないか、ものを言う力を高めて貰うためにフィオーレ南海町内会というのを立ち上げております。町内会の宣言というのも出しておりますけども、町内会を立ち上げて、3月で2年になります。最初はですね、月に1回、町内会の会議とかやるんですけどね、何か困ってることありませんかと。そんなもの何も困ってない、あんたらがやってくれてることで十分や、こんな世話になって、何も文句ないと。そんなん言うたら今度夜勤でいじめられるんちがうか、とか。怖がってらっしゃるから。利用者にとって職員との関係が崩れるということはものすごく大きなことなんですね、施設の中で。関係は崩したくないということでなかなか言ってくれなかったんですけど、昔、にぎり寿司を食べに行ったと、「おいしかってん食べてみたいな」と、おっしゃったんで、食事の外注業者に頼んで、握りの職人を連れてきて、そこでにぎって出して貰った。家族に電話するのに10円玉チリンチリンと何枚入れたかわからへんし、切れそうになったら入れなあかんし、カードの電話ってあるんと違うの、ということで、NTTに頼んでカード電話を入れて貰いました。ちょっとした要望でも丁寧に返していくということを繰り返していくと、もしかしたら言ったらかなうんじゃないかというような意識になってきてくれたと思うんです。今はうちの町内会の方はすごく元気でしてね、あんたらもうちょっとがんばりや、みたいな感じでですね、ハッパかけてくれるほどの町内会ですけれども。施設でお茶を出しますよね、朝、昼、晩と。水分補給とかいわれてね。非常にまずいお茶を出してますよね。おいしいお茶飲みたいなという、そこはかとない希望を、そしたら施設に訴えてみますということで施設長に言いますと、煎茶とかりがねを出そうじゃないかと。どうせ出すんだったら茶筒に入れようではないかと。ポットも置いて、急須を置こうじゃないかということなんですね。お茶というものはやかんで飲むものではないですね。フィオーレ南海には食事の各テーブルには急須とポットと茶筒がありますし、各階の詰め所にはいつでもお茶が飲めるようにセットしています。コーヒーも飲めるように置いています。私たちが介助する場合もありますけれども、特養には結構元気な方がいらっしゃいますね、お茶ぐらい入れられる人がいる。そういう人が他の人のお茶も配ってくださる。これはすごい自立ですね。そういう場面をよく見受けます。おいしいお茶も良いけど、お茶というのはほうじ茶も青柳も番茶もあるんやで、といわれて、この頃は番茶も青柳も玄米茶とかほうじ茶とか、いろんなのを煎れております。そういうことをストレートに施設に言ってくださるようになりました。一人一人の利用者の方のご意見というのはもちろん承るんですが、それだけではなくて、利用者の意見を町内会という組織でまとめて、そして施設に返すという、施設はここの利用者に返すんではなくて町内会に返すという、そういうことをやっております。
 町内会はお金も稼いでおりまして、フィオーレの行事の中でいろんなお店を出したり、ボランティアの方とかいろいろ参加して貰うんですが、品物を集めて売るんですね。売るのを協力してくださるのは家族会の方も協力してくださるんですけど、かなり売れまして、「売ったお金をどうしましょう」と言ったら、「通帳を作って貯めておいて欲しい」ということで、貯金をしています。このお金どうしましょう、と言ったら、たまにおいしいもの作って食べたい、そういう話しが持ち上がりました。各階フロアーに流しがあるのでそこで自分たちで作りましょうかということになって、「買い物はこれとこれを買ってきて」ということで、職員を使うんですね。利用者の方のペースで。それで、「何を作るんですか」と言ったら、「だんごを作る」と。「おはぎでもいい」と。「おはぎには小豆と、青のりのと、きなこのとがいる」と。それで、材料は私たちが買いに行って、フロアーにコンロを上げて、管理栄養士が入って、ボウルとかお鍋とかを厨房で借りてきて、どうなるかなと思ったら、もう見事ですね。職員を仕切って、その火加減は違う、とか、練り加減が違う、とか、そこで止めて、とかですね、ボウルを洗う方だとか、段取りする方だとか、私たちよりずーっとうまく家事とかやってこられた方々だから、道具さえあればそのとたんに行為が生まれてくる、ということなんです。その中では、介護とか介助とかいう姿はもうないですね。そこでは生活の場面が繰り広げられていたんですけど、その中で職員は非常に嬉しそうな顔をしていました。私たちは汗を流しながら入浴介助したり、しんどいな、腰が痛いなと思いながら排泄介助をしたり、鳥にエサを食べさすような食事介助をしたかったわけではないのです。お年寄りと関わることを喜びに感じたい。そういうふうにいつも思っていたのにそれができない労働環境とかがあったんですけど、その場面でものすごく嬉しそうな顔をして、楽しそうになっている。そういう、関われる時間を喜びに感じてくれてるのかなと思って、非常に微笑ましく思いました。毎月の町内会の会議で、次何作ります、と言ったら、4月はお花見やから花見だんご、5月は端午の節句だから柏餅。それで、作って、「食べ、食べ」とみんなに食べさすんです。食べて喜ぶ姿を見ながらまた喜ばれる。利用者の方が失っていた役割とか出番が出てくるんですね。

介護は自立支援、利用者を介護することで支えられている職員

人間の自己実現の欲求というのは、やはり何かに関わって、どこかの集団に入って、そこで自分が認められているというのが非常に大事だと思うんです。町内会という組織に入って、その中で自分の役割があって、出番があって、作ったものを喜んで食べてくれる相手がいて、そういうことが生き甲斐ということにつながってくると思うんです。皆さんいきいきとした表情をされて、楽しい町内会の料理教室です。今年からは町内会もよそから人が来てくれたりというんじゃなくて、外へ出て行こうじゃないかというんで、外に行って稼ごうとかいう話しをしております。田尻町に「エコマネー」ってあるんですね。地域だけで通用する通貨です。田尻町だから「タージ」なんですけどね。そのタージを稼ごうということで、私たちの町内会が外へ行って、例えば小学校とか行って、昔話を小学生に教える。それで、タージを貰うんですね。小学生が交流会に来てくれてレクリエーションをやってくれるとタージを払うんです。そういうことで地域との繋がりというのを深めていこうかと思っています。そういった町内会の取り組みをしています。
 町内会の会長さん、副会長さんもおられます。ほとんどの人は痴呆性ですが、痴呆性だからといって何もできない人達ではありません。痴呆性というのは、失った人達ではないんです。自分たちの生活の中で培ってきたものが100あるけどそれを出すのにぎこちなくなった方々だと思うんです。私たちでも五つ言われたら三つぐらい忘れるわけですね。それが80歳90歳と生きてこられたら忘れて当たり前です。残存能力ってよく言われますよね。残存能力維持とかね。でも潜在能力です。お茶碗を持ったら、若い職員は雑に洗うけど、お年寄りというのは裏のいとじりのとこまできれいに洗うんです。町内会の方々にいろいろと教えられながら暮らしております。介護というのは、私たちが利用者に何かするとか、そういう問題ではなくて、私たちが与えているより与えられていることがたくさんあります。支えているより支えられているのが非常に多いなと、この頃感じております。今日私が朝から施設にいて、11時頃にそろそろ出かけようかと着替えたら、フロアーのお年寄りが、「あんた今日どこかへ行くの?」「何時頃帰って来るの?」とか、「今日はそのまま帰るんか?」とか、そんなことを言ってくださるんですよね。帰ってきたら、「お帰り、遅かったな」とか言われるんです。そうい言葉でものすごく支えられるんですね。これが職員の前に進む力になっていると思うんです。非常に気づかってくれます。アセスメントとかしていると私たちが見ているように思いますよね、アセスメントとかカンファレンスとか、さも知ってるように。でも違うんです。お年寄りはよく知ってるんです。「あんた、何か嫌なことあったやろ、目つきがおかしい」とか「寝てないやろ」とか、観察されてるんです。職員が見られてるんですね。そういうことをものすごくよく感じます。

リスク・マネージメントにとりくむ

 町内会がこれだけ成長してくださったのが私たちが決めたプログラムに従ってグループワークをやったからではなくて、あくまで利用者の方の力を後ろから支えるという、これも自立支援だと思います。何もかもしてしまうことが良いことではないと皆さんもご存知でしようが、そういうことだと思います。
 さまざまな抑制をはずして、利用者主体で、できるだけ好きなように過ごしていただくサービスを展開していますが、それは私たちが見えない空間であるとか、見えない時間、把握できないことがすごく広がるということなんです。それは非常に危険です。危険なことですけれど、生活というのはリスクが高いものなんです。私たちも道を歩いていたらこけたりするんです。それがお年を召してきて、危険予知能力や回避能力が薄れてくるとさらに確立が高くなるし、在宅と施設でどちらが危険が高いかというと、やっぱり施設のほうが高いですね。例えば、在宅は壁があって、こたつがあって、いすがあって、全然バリアフリーじゃないんだけど、つたい歩きができるとか、すがるものがたくさんあるところで暮らしてらっしゃいますね。そういう所の事故の確率と、特養に入所されて、廊下を端から端まで渡るのに2m70?以上とらないといけないという基準がありますね。フィオーレ南海の場合は3mあるんですけど、それでは向こうの壁は絶対触れないですね。そういう中で廊下の真ん中でこけるとか、「個室が広くて良いですね」とよくいわれるんですけど、狭い空間はかえって安全ですけど、広くていいわけではなくて、そういうところで転倒とか事故の確率は非常に高いです。特に施設はその中でも高くなってしまいます。そういう事故の確率を最小限に減らしていくリスク・マネージメントを、私が一応リスクマネージャーとして1年間やっていますけれども、事故というのは利用者と職員の関わりの中だけで起きるんではないんです。例えばこういう業務があって、フロアーは1人だったとか、その中でコールが鳴って、その人のお部屋に行って、フロアーが空になった中で転倒が起こったとか、車いすのブレーキがかかっていなかったとかのハードの問題であるとか、そして、利用者自身の問題もあります。いくら危険ですよって言っても危険認知能力が低くて、危険な行為をされるという利用者自身の問題、そして職員の問題、五つぐらいが重なって一つの大きな事故が起こるということですけれど、そしたらその要因を潰していけばいいじゃないかということで、五つ要因があるならば、三つ潰したら確率は低くなるんじゃないかということで、確率の理論だと思っておりますので、そういった取り組みをしています。具体的には、トイレに排泄介助の道具を置く棚を設けたり、軽すぎるいすであるとか、軽いポータブルトイレとかは全ていすで挟んで固定したり。座面が高いいすがたくさんあるんです。今すごくいいいすが出てて、高くて買えないんですけど、既存であるものというのはお年寄りの体格にあってないですね。お年寄りの膝下長は大体女性で33?、男性で36?ぐらいが平均だと思うんですけど、結構高いいすがある。そういうところへ座っていただくと座位が安定しなくて前方にこけるということがあるんです。それで、切れるいすは全部切っていきました。ベンチなども下腿長に合わせて切っていきました。そして、トイレ誘導をして、何かを取りに行くときに離れるんですね。パッと取ってきます、とかね。その間にズルッという事故が結構多かったんですね。そうなるとトイレの中はタイル張りなんで、裂傷とかの大きな事故になるんで、トイレの中に排泄道具を置く棚を作ったりのちょっとしたことで非常に変わってくるんですね。トイレ誘導、座位不安定の方は必ず二人で介助させていただきますということです。一人で頑張ってやることがベストではないということ。危険で、一人しかいないときは誰かが来るまで待つということ。そういうちょっとしたことがすごく大事で、みるみる事故が減ってまいりました。抑制をはずして、パタパタとこけられた方の事故が、今年に入っては1件あるかないかということです。フィオーレ南海の事故のカウントは、足の裏以外が床に着いた場合に、打撲や骨折や怪我がなくても1とカウントします。厳しくカウントしています。怪我がなくても御家族にはすぐに連絡致します。「怪我がなかったらいいんですよ」と言われます、御家族の方は。でも、そういうリスクがあるということは御家族にも知っておいて貰わないといけない。でないと、ある日突然、転倒、骨折とかが起こりますと、「どうしてうちのお婆ちゃんが」とか、「どうしてうちのお爺ちゃんが」と。家族と介護者のその人像というのはいつも一緒にしておかないと思わぬ苦情に繋がったりしますので、これもリスク・マネージメントかなと思っています。それで、最初、ちょっとしたことでお電話さし上げると、「ああ、入院かと思いました」とか、大変なことがあったのか、と家族の方はびっくりされますよね。施設から電話がかかってくるとろくなことがないという感覚があるんですね。たまにしかしないから、そういうときしかしないから。そうではなくて、ちょっと熱を出されたとか、ちょっと変化があったときに、こういったご様子ですよということは常にお知らせするようにしています。それも私の仕事かなと思っています。
 そんな中で家族との関係もすごく変わってきました。うちの家族会の活動は活発でして、町内会のことをサポートしてくださったり、施設の行事に参加してくださったり。それで、家族会の方々は施設で会うことを楽しみにしておられるんですね。「次いつ来る」みたいな感じで。そういう横の関係が生まれてきました。家族の方が面会といって自分たちの身内には会いに来るけれども、今は、「お婆ちゃん元気やった?」 「おじいちゃん元気やった?」と他の利用者の方にも声をかけてくださる。そういったフィオーレ南海の家族会なんですけど、いろんなところで家族の方を取り込んでいます。行事とか、さまざまなイベントは全てご案内を出して、手伝ってくださってもいいし、お食事を一緒に食べていただくというのを楽しんでいます。入所されますと、一緒にご飯を食べるというのはなかなかないですね。だから、行事とかは特に来ていただいて、みんなで一緒に食べていただく。今年の新年宴会のときに、52名の入所者の御家族にご案内を出して、22家族の方がいらっしゃいました。食堂がいっぱい状態です。お鍋をつついたんですけども、食事が終わっても誰も席を立たない。ベチャベチャしゃべっておられるんですよ。だからすごくいい時間が流れてるなと。これが今までの特養にはなかった時間だなあと。でも、これって生活なんじゃないかなと思って楽しんでいます。家族会の方々、町内会の方々、いろんな方々に参加していただいてフィオーレ南海のサービスを変えていっていますけれども、やはり、サービスの効果は最大限に活かしたい。そのためにはやはり不満足であるとか危険だとかは最小に止めたい。だからいいことばかりはできないですね。良いサービスというのはやはりリスクは高いですね。ポットでお茶をいれていただく、やけどしたらどうするの、という話しになりますよね。お茶碗とか食器とかを陶器にしたら落として割るのんちゃうの。だからって、プラスチックにしましょうよ、という考えではなくて、質の高い生活をしていただいてリスクを小さくしていきたい。お茶碗を陶器に変えて割っているのは職員でしてね。利用者の方は割らないですね。お年寄りの方がずっと丁寧です。
 リスク・マネージメントというのは事故対策だけじゃないですね、苦情に繋がるいろいろなこと、事前に処理してしまうということをやっています。抑制をはずしたら事故が増えるんじゃないかといわれますけれども、フィオーレ南海は抑制をはずして2年半が経過して、利用者の自由に過ごしていく時間を拡大して、いろんなサービスを展開して、事故が減りました。12年度、211件ぐらいあった事故が、13年度は137件にまで落ちています。わけのわからない事故はないです。報告は必ず上がってきています。

ヒヤリ ハットにもとりくむ

昨年の4月からヒヤリハット報告も始めておりまして、ヒヤリハット報告は非常に大事ですね。事故報告より大事です。報告を読んでわかるのは、この施設の中でここが危険だとか、ここの業務が危険だとか出てくるんですね、ちゃんと。これはアセスメントシートなんですね、リスクの。最初、「ヒヤリハット報告を始めます」と言ったときに、「事故報告書とどれだけ違うんですか」とか、「どういった書き方をしたらいいんですか」と聞く職員がおりましたけれど、会議で周知して、そのときどきに話して伝えていって、今は、ロッカーにヒヤリハット報告書を貼っときましたよ、と、パタパタと貼ってくれてるんですね。書き方とかこだわらないです。報告してくれることが一番大事だと思っています。そういうヒヤリハット報告をツールとして事故をすごく減らしていきました。職員の顔つきが変わってきましたね。抑制ははずしたけど、なにかヒヤヒヤしながら、恐がりながらしてたときとは違って、利用者の生活に何となく合わせて1日が流れてるんだけど事故が減っているという状態。利用者と職員の関係性も変わってきましたし、利用者のお顔も変わってきました。外から見学の方がいらっしゃいますと、「みんなよく笑ってはりますね」とか言われますね。「雰囲気が明るいですね」とかも言われます。雰囲気というのは照明が明るいとか暗いとかじゃなくて、全体から醸し出すものが明るくなってきているのかなと思います。抑制をはずして、利用者の方の生活に合わせると事故が増えるんではなくて減ったということを数で示せたと思っています。これからもリスク・マネージメントというのは生活が続く限りやっていかないといけない大きな課題だと思っていますけれども、私も「村田さん、実は」と言われると、「ああっ、事故かな」とかと思うんです。顔には出さないで、あんまり職員には緊張感を与えないようにしています。職員はそれでなくてもドキドキしていますからね。大きなことが起こったときに限って余計に、私は表情ではゆったりとするようにしていますけど。そういったことも大事かなと。職員はやっぱり守ってあげたいですね。抑制をしないケアという宣言を出した施設長はすごいと思います。大きな決断をされたと思います。でもやっぱり、実際にはずしていくのは現場の職員なんですね。はずすことが施設の理念だと言われたらはずさないといけないんですね。そこに具体的な方策がなかったらはずせない。その具体的な方法を私が示していけたらいいなあと思うし、職員が考えていることは伝えられたらいいなあと思います。利用者も一人一人大事だけど職員も一人一人大事なんです。どちらかがいいということはあり得ないです。どちらも良くて初めて良いサービス・生活が生まれると思います。

社会保障審議会介護給付費分科会 報告
 7月1日、第13回社会保障審議会介護給付費分科会が開催され、?介護報酬体系の見直し案、?特養等への入所基準への意見について審議が行なわれ、介護報酬改定の骨格となる「介護報酬体系の見直し案」が確認されました。

「介護報酬体系の見直し案」への見解の取りまとめ行なわれる

第13回審議会では、前回議論した「見直し案」が再度配布され、「電算システム用のコード案の準備」を理由とした「見直し案」の取りまとめに向けた審議が行なわれました。また別の議題として、「待機者」が増大している指定介護老人施設等への入所順位の決定基準について、厚生労働大臣から諮問があり、審議会としての見解をとりまとめました。
 「待機者」が増大している指定介護老人施設等への入所順位の決定の基準については、事務局が「神戸市特別養護老人ホーム入所基準」を参考例として示し、「指定介護老人施設の人員、設備及び運営に関する基準(案)」についての審議が行なわれました。入所基準の公平性・透明性をどう確保するのか、第三者チェックの必要性、施設の主体性に任せるべきなどの意見が出されました。
 「介護報酬体系の見直し案」については、連合の村上委員から「取りまとめには議論不十分であり、居宅療養管理指導費や重度療養管理費については必要性に疑問」、「きちっとした議論が必要」と主張しました。また他の委員からは、ケアマネの質の確保や一本化のあり方について従来の主張が行なわれ、介護療養型医療施設の「介護職員の3:1配置」の経過措置の廃止について反対する意見等が出されました。しかし、「全体としてはこの方向性で可」との意見が数人からあり、西尾座長が、「本日は介護報酬の枠組みを決めたいので、座長と副座長、厚生労働省と協議し、まとめ案を起草するため暫時休憩する」との整理がされ休憩に入りました。

「介護報酬体系の見直しについて(案)」等を一部修正し審議会として確認

休憩後、「介護報酬体系の見直しについて(案)」及び「指定介護老人施設の人員、設備及び運営に関する基準の一部改正について(報告)」が示され、再度審議されました。
このなかで、介護保険からの3級訪問介護員の将来的な除外について賛否両論の意見や、入所基準改正を特養だけに規定することの是非について意見が出されました。こうした意見を踏まえ、再度休憩に入り座長・副座長等で文案の再調整が行なわれ、最終的に次の内容で確認され、審議会を終了しました。

1.3級の訪問介護員については、2級以上への以降を進めるとともに、介護保険としての評価については、将来的には2級以上とする方向で検討すること。
2. 居宅介護支援の報酬体系については、質の向上につながるよう、実態を踏まえ、引き続き検討すること。
3. 介護報酬設定における人員配置の評価のあり方について引き続き検討するとともに、重度療養管理については、十分な議論を行う必要があること。

なお、介護と医療の役割分担、施設サービスと居宅サービスの体系の在り方、保険料等の在り方など制度面の検討の必要も生じてきており、介護報酬の見直しも制度のあり方と関連する面もあることから、関係者を含めた制度見直しの議論を進めるべきである。

介護報酬の具体的水準は、13回審議会で確認された骨格に基づき、今後の予算編成作業の中で決定されます。

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