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第3回ケアワークセミナー報告
 「ケアプランの現状と課題」
  講師 岡崎和佳子さん(菜の花診療所ケアマネージャー)
「ケアプランの現状と課題」Q&A
Infomation
 ・介護保険料の全額徴収始まる
 ・BOOK 「ホームヘルパー消滅の危機」
 ・介護事故が急増
 
第3回ケアワーカーセミナー報告
「ケアプラン作成の現状と課題」
  
講師 岡崎和佳子さん(菜の花診療所ケアマネージャー)
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 介護保険制度が導入されて1年半がたちました。ケアプランの内容ひとつで利用者の生活が大きく変わります。ケアマネージャーは「ライフマネージャー」。制度説明、ニーズ把握、サービス事業所との連絡調整、提供票の発注、国保連合会への給付管理等事務作業から苦情処理まで、まさにケアマネージャーは制度の「要」です。しかし、孤軍奮闘では良いプランは生まれません。
 9月23日午後2時から自治労大阪公共サービスユニオン主催第3回ケアワーカーセミナー「ケアプランの現状と課題」が開催され、介護関係労働者約40人が参加しました。

 主催者あいさつの後、菜の花診療所ケアマネージャーの岡崎和佳子さんから講演を受けました。「菜の花診療所は福祉系サービスを持たないため、どのサービス事業所とも利害関係がない第三者機関として、利用者のニーズに沿う『公平・公正』なケアプランを提供できるが、現実的には訪問介護事業所以外は『売り手市場』。利用者から苦情があっても別の事業者を『選択できる権利』はこれからの課題である。民間事業者の参入で利用しやすくなった在宅サービスだが、自己負担があるため利用者から苦情が多い。しかし、苦情を言える関係が大切であり、事業所、ケアマネは苦情をレベルアップの『糧』として捉えてサービスの質や内容をさらに向上させることが望まれている。最初は持ち出し(損)をしても、信頼関係ができれば必ず次に帰ってくる」と話されました。

 そして、「介護保険だけでは利用者の生活問題は解決しない。利用者の生活をより豊かなものにするためには、インフォーマルな社会資源を掘り起こし活用することが不可欠」として、地域での自然発生的な配食サービスの例を紹介。「介護は人づくり、地域づくり。まさに、情けは人のためならず。私たちの豊かな老後のためにも地域ケアの充実に向け、これからも模索していきましょう。」と結ばれた。

 休憩の後、看護職や介護職から現場で抱える質問や悩みが続出。改めてケアプランや事業所のケア計画、提供するそれぞれのサービスの重要性と、その質を確保する報酬単価を求められていることが感じられた。ネットワーク推進委員からは「私も社会資源。隣近所の人と関係ができれば解決する問題も多い。もっと地域の活用を」との提言も出されました。

  私のケアマネ活動
 自前で介護保険の福祉系サービス事業を持っていないため、本年8月現在43名のケアプランには35事業所を利用している。ケアマネは「ライフマネージャー」である。台所、トイレの水が流れないなどの生活面から介護保険料を払っていけるのか、給付制限が必要か等の経済状況の把握まで、給付表に記入できない部分が多く占めている。

  サービス利用と苦情
確かに、介護保険制度が導入されて在宅サービスは格段に利用しやすくなった。以前は申請から利用まで6ヶ月待ちが当たり前。サービス内容・利用時間も制限されていた訪問介護事業。独居老人には訪問看護婦が公的ヘルパーの不足分を補完して、家事援助までせざるを得なかったが今では連絡してから3日以内、緊急時には即日利用も可能。
 ガン末期のターミナルで家族が働いていても、希望すれば在宅で生活できるようになった。
一方で、「料理が口にあわない」「レパートリーが少ない」「掃除の仕方が悪い」など、生活の根本を支える家事援助に対する苦情が多いのも事実。サービス利用者側も費用を1割負担することにより、苦情を言いやすくなった。(以前は「ヘルパーがくる前に利用者が掃除をしていた」という話も。)確かに利用者の嗜好や生活習慣まですべて満足させることは難しいが、大切なのはヘルパー(事業所)の介護プランがきっちりとできているかどうか。「食べることは生きる力につながる」ことから、家事援助の単価を上げるためにも、今後はサービスの質や内容のレベルアップが求められている。
 また、デイサービスも、「座っているだけで疲れる」「入浴時の異性介護が嫌だ」などの苦情もある。訪問看護婦にも、「疾患」だけに着目して利用者の「生活」を見ていない状況があるのは同業者として残念に思う。
 苦情を苦情として言える関係が必要である。「苦情は事業所、ケアマネのレベルアップの糧」。利用者に信頼されることが評価となり、適正な報酬単価のアップにつながる。
厚生労働省は、ケアマネ一人当たり50件のケアプラン作成を基準としたが、毎月同じプランで済む利用者はほとんどいない。それぞれきっちりとプランを立てるには50件というのは不可能に近いし、ケアプラン作成だけでは採算がとれないのが現状。

 ケアプランと提供サービス
より良いサービスを提供するためには、ケアマネへの的確な報告・連絡・相談が必要不可欠。実際のサービス提供時にどんな無理があるのかを的確に報告し、プラン外にしたことはすぐに連絡がほしい。勝手に時間延長、変更してケアマネとの関係が悪化、利用者まで巻き込んでしまい、良いサービスが提供できなくなったケースもある。逆に決められた時間がきても途中で帰ることなく、事業者の持ち出しでも納得いくサービスを提供するくらいの気持ちが欲しい。一度信頼関係ができれば必ず帰ってくる。「損して得とれ」である。
また、人間関係は一方通行ではない。利用者は人生経験が豊か。精神的には私たちの方が介護されている場合もある。

 介護は楽しい!!
介護保険だけでは生活問題が解決するわけではない。もっと地域のインフォーマルな社会資源を掘り起こし、利用しよう。例えば、町のお弁当屋さんを根気よく利用し続けることで配食サービスにつながったこともある。わざわざ「ボランティア講座」を開催するより、まず地域に利用者の存在をPRする。それが安否確認や話し相手など自然発生的なサービス提供へと広がってくる。介護は上から言われるものではなく、現場から変えていける。「人づくり・地域づくり」である。
 人は一人では生きていけない。いろいろな人、機関、サービスによって生活していく。家族も、介護は介護としてするけれども自分の時間・世界を持つことが大切。ストレスの発散ができれば、要介護者にとってもプラス。日本医科大学の竹内先生が介護保険導入前の講演で示された「介護の番付」の表によると、要介護者と家族の気持ちが「お上の世話にはなりたくない」という「幕下」からサービスを受けていく「前頭」、介護の省力化をはかり<自分の時間>をつくる「小結」に。さらに、ボランティアの利用やサービスの注文も出す<攻めの介護>により趣味を始め、定期的なショートステイ利用で旅行も楽しめる三役。そして、「たいへんだが介護もまんざらではない」という「横綱」にいたる過程がある。介護する人と介護される人の新しい関係には風格さえ感じられる。

 私たちが地域の社会資源を掘り起こし、人を結びつけて住みよいまちづくりに取り組んでいるのは、高齢者・障害者のためにしているわけではない。自分が高齢者・障害者になったときにも、「ここに住んでいて良かった」と思える町であってほしいからである。副題にもあげたが、「情けは人のためならず」…。きっと自分にかえってくると思う。

「高齢者と食事」Q&A

Q.介護保険以前には利用者の診断書は各サービス共通で利用していた。今は事業所ごとに診断書を取る必要があるので費用がかさむ。統一したり、コピーで済ますことはできないのか。また、来年から限度額が一本化され、現在目一杯のサービスを利用している場合、通所系のサービスを減らす必要がある。どんな工夫があるのか。
A.診断書はほとんどの事業所にコピーで了承してもらっている。提供するサービスが限度額を越えると越えた部分は全額自己負担となるので、やむなく区分変更を申請せざるを得ない。

Q.《ヘルパー》男性利用者から、「音楽や折り紙を一斉にさせられるからデイに行くのはいや」という声を聞く。デイサービスの内容を教えてほしい。
A.生野区内にはデイサービス・デイケア事業所が16ヵ所あるが、確かに全員でする(遊戯的な)レクリエーションを嫌がる人も多い。その声を事業者に返して、対処してもらう必要がある。サービス提供事業者を育てていくのは地域であり、利用者である。
意見(デイ・看護婦):保育所のお遊戯に似た「託老所」的なレクリエーションは指摘される面もある。

Q.《訪問看護婦》苦情を返して解決を事業者に求めるということだが、本人のプライバシーの点ですべて報告できないこともあるのでは。
A.苦情の中味にもよる。提供されているサービス内容の報告をし、その改善を求め、結果を求めていくのが一般的だが、個人名を出しても良い利用者ならもっと具体的に改善を求めていく。ケアプラン作成時の契約書で、サービス向上のためには事業所に報告しても良いかどうか利用者の同意は取ってある。

Q.同意書は取っていても、ケアマネと利用者と事業所が「言った」、「言わない」の話になる恐れはないのか。
A.これまでのケアマネとサービス提供者相互の信頼関係による。利用者の声を正確にフィードバックして、それに事業者がきちんと応えてきたかどうかで判断できる。

Q.《介護関係以外の職員》特養やデイ等の施設(事業者)以外に、行政サイドのフリーな立場のケアマネが必要では。また、介護保険には福祉オンブズマン的なものが必要では。
A.第三者機関のケアマネも必要である。電話・FAX代、コピー代などのランニングコストも負担になり、今の介護報酬では採算がとれない。「地域づくり」の面でケアプラン作成をしている。良いケアプランを立てていれば、いつかは自分の事業所の評判となって帰ってくる。しかし、行政サイドのケアマネでも細かな利用者の状態がそこに報告されるかが問題。1つの事業所で複数のサービスをすべて提供できれば、区分変更の際でもすぐに対応できるが、「苦情」が表に出にくい。地域として育ちにくいという欠点もある。各地で組織されてきたオンブズマンの役割は、今後ますます大きくなっていくと思う。

Q.《ヘルパー》家事援助を行うヘルパーへの苦情は確かにあると思うが、利用者の生活スタイルは十人十色。中には一般的には考えられないことを要求されることもある。ヘルパーの立場からだが、毎日家庭に入っているヘルパーが利用者のことを一番よく見て、わかっていると自負している。われわれのレベルアップも確かに必要だが、少なくともケアマネとの連絡は密に取りながら利用者を支えているつもりである。
A.ヘルパーがいなければ利用者の在宅生活は成り立たない。主役はヘルパーである。ヘルパー側がケアマネに報告して、ケアマネが利用者の内容変更などを考えていくべき。連絡調整の点では、ケアマネとヘルパーどころか、事業所内での連絡・連携がとれておらず、担当ヘルパーがケースの情報を聞いていないというところもある。

Q.《登録ヘルパー》2ヶ所に訪問している。「ヘルパーの質」を上げなければということだが、一人の利用者にとっては私は「良いヘルパー」と言われる。もう一人の利用者にとって「悪いヘルパー」ということになっている。自分では同じようにサービスを提供しているつもり。
Q.《ヘルパー》「良いヘルパー像」は利用者にとってと自分にとってが違う。利用者は時間外までしたり、やってほしいことをそのまましてくれる人が「良いヘルパー」、しないと情がない「悪いヘルパー」となる。ケアマネが最初にヘルパーのサービス内容について、利用者にもっと徹底した説明をしてほしい。
A.最初は利用者にも誤解が多くあったが、制度・サービス内容も徐々に浸透してきたので理解してくれる利用者も増えてきた。ただ理解不足の場合、ケアマネの説明責任はある。

Q.《生野区ネットワーク推進委員》講師から「もっと地域の社会資源を活用しよう」という話が出たが、私も地域の「保健・医療・福祉ネットワーク推進員」として一つの社会資源。障害をもつ在宅高齢者に銭湯入浴を当たり前に楽しんでもらう活動など、地域と施設(職員)、公的機関が一緒になって取り組んできた。ケアマネがその人の生活を決めるのではなく、「隣近所の人とうまく関係ができるか」が問題。その人の老後の生活が豊かなものになるかどうかは地域のもつ力が大きいと思う。もっと活用してほしい。
A.生野区では熱心に取り組んでくれるネットワーク推進員さんが多くたいへん助かっている。障害を持つ高齢者・家族と地域住民でつくる「ふれあいのつどい」や旅行、各種行事だけでなく、日常的な地域活動により在宅の高齢者が支えられている。熱心な地域だけに事業者に対する思い・要望も強く、そのことで身が引き締まり、鍛えられている。

Information

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 介護保険料の全額徴収始まる
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 介護保険制度がスタートして1年半が経過し、10月から65歳以上の高齢者の保険料全額徴収が始まった。全額徴収によって収納率が低下する恐れがあることから低所得者を対象に独自の減免策を実施する自治体が増えている。しかし、厚生労働省は介護保険の理念を揺るがすものになりかねないことから、安易な減免制度を戒めている。一方、滞納が1年半以上になるとサービス給付が差し止められる可能性があり、利用者に対する自治体からの周知徹底などが求められている。(10/1 読売新聞)

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 ホームヘルパー消滅の危機
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 ホームヘルパー329人の調査結果を民間のヘルスケア総合政策研究所(東京)の篠崎良勝さんが「ホームヘルパー消滅の危機」(発行:日本医療企画・本体2800円)という本にまとめた。
この調査結果では、待遇だけでなく「消費者意識」「医療行為」にも焦点をあて、ホームヘルパーが専門職として認められていない現状が浮き彫りになっている。
爪きりや薬の塗布などの「医療行為」を「行ったことがある」と答えたヘルパーは91.8%に上っており、筆者は、法的な保護が曖昧なまま、「医療」行為などを行わせている厚生労働省の責任は重いと訴えている。(10/3 毎日新聞)

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 介護事故が急増
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 国民生活センターなどによると介護事故による相談が年々増加している。介護保険制度が始まったことで、利用者の意識が高まったことが背景にあると見られる。しかし、施設から関係者に事故の状況や原因が伝えられない事例が目立っている。これは、事故報告基準がないため記録せずに、原因不明のけがや不可抗力ととらえている施設が少なくないためと見られる。厚生労働省もどんなことを事故とするか決めていないため、「届けるかどうかは施設の判断による」としている。
 一方で、長野県の特養ホーム「ともしび」は、98年から施設で起きた事故を利用者らに公開している。また、事故の具体例の分析から改善努力も行っている。村岡施設長は「事故があったとき、個人の責任を追及するのではなく、組織の問題としてとらえ、改善していく姿勢が大切」と話す。(10/4朝日新聞)

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